2015年1月アーカイブ

いずれも干拓事業による大規模農地の開拓を目的としていたが、数十年も前の食糧不足時代に立案した大型の公共工事だった。

このため年月が経過するうちに食糧不足時代は飽食の時代に移行して、食糧不足の解消という工事の目的が喪失してしまった。

もっとも事業目的はそれだけでなく、山問部の農民を平坦な大規模農地に移住させ、農業の規模拡大と生産性の向上を計るという構造改革計画でもあった。

だからこそ工事は継続されてきたのだが、環境問題という深刻な問題が浮上してきた。

「中海のシジミを殺すな」「有明海のムツゴロウを殺すな」「養殖ノリの被害の責任を取れ」

と言った声が全国的に広まった。

国民も何が始まったのか、知るところとなるだろう。

この政策評価という霞が関の動きは、農水省にとって、新農政の実施とタイミング的に重なるものだった。

農水省の新農政とは、食料・農業・農村基本法を1999年7月に制定し、2010年までの10年間に食料自給率を四〇%から四五%に引き上げる目標を掲げ、その実現のための基本計画を前半の五年間を対象に立て、2000年度から基本計画達成のための個別の政策を実施するというものである。

タイミングが符合した以上、この政策評価の手法を活用すべきと農水省は考えた。

一つの英断である。


国民にとって、消費税のように直接利害に関係しないばかりか、「どうせ各官庁が自身の政策を自己評価するのだから、自己弁護に終わり、さしたる成果はあがらない」と見切っているのかもしれない。

たしかに、その通りの結果になる可能性が大である。

しかし、日本の行政にとって画期的な試みであることには変わりない。

それと同時に、グローバル化という時代の変化に行政が対応しようという注目すべき動きでもある。

つまり、この制度が要求している政策評価とは、それぞれの省庁が実施している政策を、自ら客観的データに基づいて評価してみせるという機能を備える行政手法の確立である。

それぞれの官庁が、自らの政策をどのような考えで正当化するか、どのような統計数字を使って政策の目標を示し、どのように説明するか、さらに社会問題化し糾弾されている施策に対して、どんな理屈で正当化し、その必要性を訴えてくるか、けだし見物である。

そこには各官庁の時代に対する適応力、国民の支持を獲得する説明能力が表現されているはずだ。

それは、こうした政策に関連している官庁の職員だけでなく、地方自治体の関係職員、関係業者などの人々にとって、文字通り、自身の職務の将来性を決定付ける評価となる。

霞が関の全ての官庁が行う2002年度からは、これまで以上に注目されるであろうし一歩先んじて実施している農水省の動きは、さらに注目されるだろう。

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