2015年7月アーカイブ

83年に、天然化学物質に関する試験データを発表する少し前あたりから、エイムズ博士は考え方を変え、現在では、当時の発言は極端すぎたと本人が釈明している。

そんな背景もあって、このレポートは、非常に大きな議論を巻き起こした。

ABCテレビがニュース番組で取り上げたり、リーダーズ・ダイジェスト誌が誌上討論を企画したりした。

エイムズ博士に対しては、「企業の御用学者に変節したのか」という抗議の声も起こった。

学者の間からは、「ランキング作成の基準が適切ではなく、不正確だ」との声も出ている。

これらの議論は、一年や二年では、とても決着がつくようなものではない。

興味のある方は、是非注目していてもらいたいが、誌上討論はきわめて専門的で適当な翻訳がないのが残念なところだ。

残留性や発ガン性が問題になって、使用禁止にされた合成化学物質農薬よりも、一日一個のマッシュルームを食べる方が、はるかに発ガンの危険が大きいというわけだ。

衝撃的でないはずがない。

しかも、この論文の発表者が、カリフォルニア大学のB・エイムズ博士(と二人の共同研究者)だったことで話題はさらに大きくなった。

エイムズ博士は、サルモネラ菌を使って、わずか三日程度で化学物質の変異原性を調べられる「エイムズ・テスト」の考案者であり、発ガン物質の研究者としては、世界で最も良く知られているうちの一人だ。

しかも、1971年には、「たった一個の突然変異分子でも、動物に突然変異を起こすことができる。

だから、ある化学物質が動物に突然変異やガンを発生させないことが明白に証明されない限り、それを人に接しさせてはいけない」と主張し、環境保護団体などの人たちの英雄的存在だった人だ。

残留農薬検査

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