国民にとって、消費税のように直接利害に関係しないばかりか、「どうせ各官庁が自身の政策を自己評価するのだから、自己弁護に終わり、さしたる成果はあがらない」と見切っているのかもしれない。
たしかに、その通りの結果になる可能性が大である。
しかし、日本の行政にとって画期的な試みであることには変わりない。
それと同時に、グローバル化という時代の変化に行政が対応しようという注目すべき動きでもある。
つまり、この制度が要求している政策評価とは、それぞれの省庁が実施している政策を、自ら客観的データに基づいて評価してみせるという機能を備える行政手法の確立である。
それぞれの官庁が、自らの政策をどのような考えで正当化するか、どのような統計数字を使って政策の目標を示し、どのように説明するか、さらに社会問題化し糾弾されている施策に対して、どんな理屈で正当化し、その必要性を訴えてくるか、けだし見物である。
そこには各官庁の時代に対する適応力、国民の支持を獲得する説明能力が表現されているはずだ。
それは、こうした政策に関連している官庁の職員だけでなく、地方自治体の関係職員、関係業者などの人々にとって、文字通り、自身の職務の将来性を決定付ける評価となる。
霞が関の全ての官庁が行う2002年度からは、これまで以上に注目されるであろうし一歩先んじて実施している農水省の動きは、さらに注目されるだろう。